ロフォーテン諸島ボルダンリグ2017

with コメントはまだありません
トポの表紙のボルダー (Vestvågøy島 Risryggen)

2017、2018と2年続けてノルウェーのロフォーテン諸島でボルダリングしてきました。今年は海外クライミングに行けそうにないので、記録と記憶を整理して思い出に浸ってみるシリーズ。

今回は2017年の話。時期は9月中旬、ロフォーテン5泊、オスロ1泊、機中1泊の8日間。初めての海外クライミング、しかも一人旅。感想をひとことで言うと「最高!」でした。レンタカーであちこち走り回ったのだけど、どこを見ても絶景で、人が少なくのんびりした空気と相まって、非日常感がたまらなく良かったです。

さて、旅の話を順を追って。当時のメモをもとにダラダラと長文でお送りします。岩の話だけ読みたい方は、2、3、5日目を。


1日目(成田 → Svolvær)

初日は移動日。成田からコペンハーゲンとオスロで飛行機を乗り継ぎ、エヴェネス空港へ。ここからレンタカーで、ロフォーテン諸島最大の町 スヴォルヴァーまで一気に移動。

出発前夜は帰りが遅くなり、自分恒例の徹夜でパッキング。台風18号が近づいていたけど、まだ天気は崩れていない。クルマにスーツケースとクラッシュパッドを積み込み、成田へ向かう。8時前に駐車場へ到着。今回は往復SAS(スカンジナビア航空)を利用。カウンターでチェックインを済ませると、最後にスタッフさんが申し訳なさそうにひとこと。「乗り換えのコペンハーゲンで客室乗務員がストライキを計画中です。スト決行の場合は現地で変更手続きをしてください。」と。ちょっと何言ってるか分からない。英語で乗り換え交渉とかムリ…と不安になるが、徹夜明けでぼんやりしていて、深く考えるのをやめた。

11:10発 SK984便。11時間20分飛んで、コペンハーゲンには定刻通り現地時間15:30に到着。入国審査は「何日滞在?」的な質問だけで、ハンコポン。スタンプのデザインがかわいい。乗継便にキャンセルの情報なし。ストは回避したみたいでひと安心。レンタルWi-Fiは繋がったけど遅くてまともに使えない。

オスロにもほぼ定刻に到着。空港内を歩いていて、周りに日本人がいないことに改めて気づく。小銭を作ろうと、KIOSKでノルウェー定番のFreiaのチョコを買う。大きめのキットカット的なもの4本入りが28NOK(ノルウェー・クローネ)、日本円で450円くらい。高いね。日本なら150円てとこかな。

エヴェネス空港行きの国内線は満席。カラダのデカいおじさんグループが、すげーデカい声で会話していて圧倒される。何かイベントでもあるのだろうか。1時間半飛んで到着。とにかく眠い。 つたない英語で 、Hertzでレンタカーの手続きをどうにか終える。荷物をピックアップして駐車場へ行ったら、Hertzのお兄さんが待っていてクルマの場所を教えてくれた。優しい。クルマはBMWのハイブリッド。

ぐずぐずと準備して出発。途中休憩も挟み、睡魔と戦いながら2時間半運転してようやくSvolværのホテルに到着。部屋に入ったのが午前3時前。さすがに疲れた…


2日目(Risryggen)

9時前にようやく起床。朝食ビュッフェはかなり充実していて、特にチーズの種類が多くてうれしい。

フィヨルドの穏やかな海

昨日は夜の到着で気づかなかったけど、ホテルの目の前からしてめちゃめちゃ良い景色だった。北欧に来たんだなぁと感慨に浸る。

今回の相棒

レンタカーのBMWハイブリッドはパワフルによく走る。ノルウェーは右側通行。ほとんど信号はなくて、交差点はたいがいラウンドアバウト。ロフォーテンは車が少ないので、運転はそんなに苦ではなかったけど、道幅が狭くて、時々すれ違うキャンピングカーやトレーラーにはちょっと緊張した。

Vestvågøy, Risryggen

スヴォルヴァーから1時間くらい走って、トポの表紙の岩に到着。いやー、思っていたよりデカい!かっこいい!そんでめっちゃいい景色!

代表課題 Wicked Tuna (6B+) のスタートあたりを触ってみるも、ランディングが海なので怖くて本気トライは無理。ではと、Public Service (6A) に取り付いてみたけど登れず…。6Aって4級くらいじゃないの…?そうそう、トポのグレード表記は Fontainebleau scale です。かっこいい岩を見られたから良しとして、次の岩場へ。

Excalibur (5B)

これもかっこいい岩でロケーションも最高。リップ取れず敗退。5Bは4~5級のはず。うむむ…

ぜんぜん登れないじゃないか…と打ちひしがれているところを、放牧の羊たちに慰めてもらう。

ホテルのレストランで夕食。カニの何かと白身魚の何か。魚は独特の風味がある。メニュー見たけど良くわからんが、多分ロフォーテン名産の干しダラ。

スヴォルヴァーの港を散歩。静かな水面に灯りが映えてとても奇麗。

ホテルのすぐ横はフッティルーテン(沿岸急行船)の船着き場。フィヨルドの船旅も楽しそうね。


3日目(Svolvær近郊)

湾の向こうにスヴォルヴァーの街を望む

この日はスヴォルヴァー近くの岩場、Børvågenへ。車で20分くらい。

Høydenエリアの名もなきボルダー

イージーな課題でアップ。昨日まったく完登していないので、登れただけで気分が良い。そして、ここも景色がいいんだ。朝晩は冷えるけど、日が昇るとロンティー1枚でも暑い。

Gårdsplassenエリアへ向かう途中の入り江

奥のエリアGårdsplassenへ移動。写真中央に見える薄緑色のロープを頼りに崖を降りて入り江を越える。

Cyclops (7B) の岩。左のカンテを直上する。正面フェイス中央はProject。

昨日のエリアとは違う赤みがかった岩。

Folkefesten (5A)

クラックをレイバック気味で登る。下地よし。高度感もあって楽しい課題。

Snarveien (6B)

クラック右側のカチ課題は敗退。

名もなき岩を端からひたすら登る。

穏やかで良い場所。昨日も今日も岩場で人に会わず。トポも出たし、もっとクライマーが来ていると思ってたんだけどね。

サークルKで給油と買い物。レギュラーが16.37NOK/L、260円/Lくらい。高いね~。食品の値段は日本の3~4倍だから、相対的には安いけど。

Lamb shank (ラムのスネ肉)

夕食は向かいのホテルのダイニングバーで。ノルウェーのドラフトビールに、キノコのスープ、そして写真のLamb shank。これが凶悪なデカさで、体感1kgくらい。どうにか主要部分は食べ切ったけど、ひとり大食い大会になってしまった。


4日目(雨、Henningsvær 観光など)

この日は雨。レイネから船でアプローチするBunes Beachに行く予定だったけど、諦めて観光とボルダーエリア見学。

ヘニングスヴァールはスヴォルヴァーからそう遠くない漁村で、古い町並みに風情があって散策によい。古い家もとてもおしゃれ。漁師小屋を宿泊用に改築したロルブー(Rorbuer)がロフォーテンでは人気で、ここにもいくつか。観光客向けのギャラリーなどもあり。

雨は上がったけど、風が強くて耳が痛い。

子猫とシトロエンのカラーコーディネート
Vestvågøy島 Sand の灯台ボルダー。ナーレ・フッカタイバル初登の7C課題あり。
泊まったホテル。高かったけど、奇麗で安心・快適。

夜中の3時半に目が覚めて外を眺めると、空に薄っすらとオーロラが。肉眼ではほぼ白い雲だけど、写真に撮ると緑がかって見える。

しっとりとしたフィヨルドの夜明け

5日目(モスケネス島 Kvalvika)

晴れ。この日はモスケネス島の北側、徒歩でしか行けないKvalvikaエリアへ。

モスケネス島に向かう途中もいたるところに絶景ポイントが。

運転しているだけで楽しい。

アプローチの最初にある湖。根元まで見える奇麗な虹が。

11時前に島の南側の駐車スペースに到着。ここからコースタイム1時間半のアプローチ。Kvalvikaに向かうルートは北東側にもう1本あるけど、トポのおすすめに従ってこちらを選択。昨日の雨のせいもあり、道はかなりぬかるんでいて何度か足を取られ、足を濡らしてしまった。ハイカットの登山靴か長靴が欲しいところ。峡谷沿いに進んでいくと静かな湖がいくつかあって、とても素晴らしい景色でした。道の悪さと、写真を撮りまくっていたせいで、ずいぶん時間がかかってしまった。

エリアへ到着。そしてまた絶景。

Kvalvika, Oceansideエリア遠景

写真ではスケールが分かりにくいけど、上の写真の麓にゴロゴロしている岩が下の写真のようなサイズ。とにかくボルダーがいっぱい。

Bøttetak (5C)

アップにちょうど良い課題。マントル楽しい。

Nameless (5B)
Flying Colours (6C)。核心(と思っている)一手。

今回ぜひ登りたかった課題のひとつ、Flying Colours。僕にとってはパワフル&テクニカルで、足技を駆使しつつ出だしの数手を手早くこなさないと、ヨレてしまって核心のカチ取りに飛び出せない。下部も上部もできたけど、結局この一手がつながらず、時間切れで敗退。ずいぶん遠いところに宿題を作ってしまった。

Kvalvika beachを振り返る
帰り道もまた違った表情で美しい

ロフォーテンでのボルダリングはこの日で終了。思っていたグレードは登れなかったけど、そこはあまり求めていなかったし、どこのエリアも素晴らしいロケーションで大満足。


6日目(オスロ観光)

ホテルをチェックアウトして6:20に出発。2時間40分かけてエヴェネス空港に到着。朝日が眩しかった。

積み込み待ちのsnap君

この日はオスロで観光。スーツケースとクラッシュパッドは空港のクロークに預けて、NSB(ノルウェー国鉄)でオスロ中央駅へ。NSBは特急のFlytogetと比べて、時間はあまり変わらず値段は半分。

中央駅から徒歩でオスロ大聖堂→国立美術館でムンクの叫びなど鑑賞→オスロ市庁舎→アーケシュフース城→オペラハウスを見て回った。歩き疲れたけど、素敵な街並みで全然飽きない。

オスロ駅前。建物も路面電車もお洒落。
カラスっぽい雰囲気だけど、誰だい君は。
アーケシュフース城からオスロ湾を見渡す。付かず離れずのカモメさん。
オペラハウスと海鳥。鳥ばかり映してるけど、こんなに鳥好きだったか。
オペラハウスからの眺め。きれいな街並み。

7-8日目(帰国)

空港へはFlytoget利用。直通なので安心です。コペンハーゲンでトランジットして成田へ。機内はかなり寒く、厚手のフリースを着込んでちょうどよいくらいだった。とにかく爆睡。

成田には定刻に到着。足がむくんで、ももの裏が痛い。お尻も痛い。帰りの運転は車線を間違えそうになることもなく、車幅感覚以外に違和感なし。やっぱり自分の車が運転しやすい。


最後に

ロフォーテン諸島は素晴らしい景観の広大なエリアに沢山の岩が点在しているので、弱小ファンクライマーの自分でも十分に楽しむことができました。登れる人は高難度課題も豊富にあるので、もっと楽しめるんじゃないかな。

そもそも、ロフォーテンに行こうと思ったきっかけは、当時クライミング関係のサイトでよく見かけたPETZLのバナー広告でした。これに使われていたボルダーの写真がメチャクチャかっこよくて。 低く垂れ込めた雲、背景には三叉の鉾のような特徴的な尖峰、溶岩地形と思われる荒涼とした海岸に大きなボルダーがひとつ、そこを攀じる小さな人影。どこなのか知りたくて、延々と検索している途中に巡り合ったのが、 ロフォーテン諸島のボルダーエリアのトポでした。(Bouldering in Lofoten Guidebook / グッぼるオンライン)

表紙の写真の雰囲気が似ているし、これはこれで、また心に響くものがあって、ちょっと高かったけどお取り寄せ。トポを眺めているうちにだんだんと気分が盛り上がり、そして、たまたま長い休みが取れるタイミングだったので、海外クライミングなんて行ったことないけど、しかも誰とも予定合わないから一人旅だけど、一念発起してノルウェー行きを決めたのでした。ロフォーテンのトポに巡り合わせてくれたグッぼるさんに感謝! ちなみに、PETZLの写真はのちにアイスランド某所と判明。ここもいつか行ってみたいな。

ロフォーテン諸島がいたく気に入り、宿題も残してきたのでまたいつか行きたいなと。で、翌年友人を誘って再訪したのでした。その話はまたいつか。

以上、5年放置したブログに2年前の話を書いてみる遊びでした。

Leave a Reply